チケット不正転売禁止法について|2019年施行・特定興行入場券に注意

チケット不正転売禁止法について|2019年施行・特定興行入場券に注意

更新:

2019年6月14日から施行された新しい法律で、2020年の東京五輪のチケット不正転売を防ぐのを目的として2018年12月14日成立したと言われています。

2016年のリオデジャネイロ五輪では不正転売が横行し、価格が高騰した為、チケットの販売自体は90%近く販売されていたが、実際には空席が目立つとう自体になりました。

空席の目立つリオ五輪の様子

出典:NewsPhere

日本は国際オリンピック委員会(IOC)からもこの問題に対処するように要請されており、このような背景があって、2018年11月に提出された同法案は翌月には可決されています。

目次

概要

チケット不正転売禁止法の概要

出典:文化庁

簡単に言えば、

  1. 特定興行入場券を
  2. 業として
  3. 販売価格を超える価格で

転売することを不正転売と呼び、これを禁止する。

という法律です。

"不正転売の禁止/不正転売目的の譲受けの禁止"

とありますが、この文面からすると、不正転売チケットを購入する側は法律違反になるという事では無いようです。

  • 不正転売を目的として、チケットを入手すること
  • 不正転売を行うこと

の2つを禁止した法律になります。

特定興行入場券とは

定義は下記のようになり、要は、主催者が有償譲渡を禁止する旨をチケットに明示したもの、ということになります。

不特定又は多数の者に販売され、かつ、次の要件のいずれにも該当するものをいう。

  1. 販売の際に、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示していること。かつ、その旨がチケットに表示されていること。
  2. 特定の日時及び場所が指定され、かつ、入場資格者又は座席が指定されたものであること。
  3. 販売の際に、氏名及び電話番号、電子メールアドレスその他の連絡先を確認する措置を講じ、かつ、その旨をチケットに表示させたものであること。

チケット販売サイトなどが立ち上げた、チケット適正流通協議会は、画像のように、特定興行入場券であるものはわかりやく【特定チケット】と表示すると表明しています。

特定チケット表示の事例

"業として"とは

見慣れない言葉ですが、色んな法律の中で比較的多く出てくる表現です。

要は、「事業として行う」という意味になるのですが、会社でやっている場合に限らず、

  • 利益目的で
  • 繰り返し行っている

行為が一般的に「業として」行っているとみなされます。

"販売価格を超える価格で"について

チケットを購入する際には、「チケットを買いたいとき:購入手数料比較と注意点」にもありますが、様々な手数料が発生してきます。

ここで言う「販売価格」の中にはそういった手数料は含まれるのでしょうか。

これに関して元特捜部主任検事の前田恒彦氏は「どんなチケット転売がアウトか 「今回はたまたま」も要注意、1円でも定価超えはNG」の中で下記のように述べています。

すなわち、実費の具体的な内訳を明示し、それと同額分を加えたのみで、それ以上の利益分を上乗せしておらず、たまたま使う予定がなくなったチケットを今回だけ譲ったということであれば、「業として」には当たらないと評価されるだろう。

どういう意味かと言えば、例えば、

販売価格5,500円(チケット代:5,000円+システム手数料:500円)

といった形で定価+手数料の内訳を明示している分には大丈夫だろうということになります。

ただ、この辺りは法律では明確にされていないとも言えます。

嵐チケット転売事件から見える適用事例

2019年6月24日には、同法成立後、はじめての摘発事例が話題となりました。

事件の概要は下記のようなものです。

大阪府警は24日、札幌市白石区の保育士の女(24)をチケット不正転売禁止法違反と有印私文書偽造・同行使容疑で書類送検した。

SNS(交流サイト)を介して第三者から嵐のコンサートチケットを購入し、自身の分を除いたチケットの買い手をSNSで募集。「顔写真さえあれば確実に入れる」などとうたった。府警は1~9月、嵐などの10公演、17人分のチケットを同様に転売し、約90万円を売り上げたとみている。

女がチケットを転売したとみられる嵐の公演は、複数のチケットを申し込む場合、購入者と同行者の氏名を登録し、入場時は全員の身分証提示が必要だった。女は入場時の本人確認をすり抜けるため、チケットの名義人の名前を記した自身の社員証も偽造。購入者の分も会場で顔写真を受け取り、準備したカードにその場で貼り付けて完成させていたとみられる。

日経新聞

今回問題となっているのは、本人確認書類を偽造した部分とチケット不正転売の部分です。

複数のチケットを申し込む為に、身分証を偽造して、17人分も販売しているので、これは明らかに、

  • 不正転売目的でチケットを購入し
  • 業として(継続的に)不正転売を繰り返していた

と見られます。

今回の法律では、購入者側はチケット不正転売禁止法には違反していませんが、有印私文書偽造行使の部分には該当してしまうので、注意が必要です。

報道を見る限り、購入者側に関しては摘発されていないようですが、摘発される可能性は当然あります。

嵐をはじめとしたジャニーズジュニアの各コンサートではこのように特定チケットとなっている可能性が高い為、購入の際には注意が必要です。

上記の他にチケット不正転売禁止法に違反し、逮捕に至っている事例は、別途「チケット不正転売での逮捕事例まとめ【2020年版】」にまとめています。

シェア
チケフェス編集部です。チケットサイトの使い方、業界情報、関連ニュース、最新情報なども発信していきます。 Twitterは @ticketfes です。中の人の趣味が偏っており、時折、メロコアやジャズロックについての記事も書いています。
  1. トップ
  2. ブログ
  3. チケット不正転売禁止法について|2019年施行・特定興行入場券に注意