無料じゃ見られない!お笑い芸人のDVDに入っているこのネタがスゴい!

無料じゃ見られない!お笑い芸人のDVDに入っているこのネタがスゴい!

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お笑い芸人が大事にしている活動の一つに「単独ライブ」というものがある。単独ライブとはその名の通り、その芸人のみが出演してネタを披露するお笑いライブ。普段は持ち時間が決まっていたりする中、単独ライブでは一つのネタを10分以上披露したり、セットや衣装にこだわって細かい点まで自ら演出することができるのが特徴。

ネタ以外でも趣向を凝らしたVTRでお客さんを楽しませ、多くの芸人は数ある仕事の中でもこの「単独ライブ」を重要視している。

そんな単独ライブはDVD収録され、販売・レンタルされており、今ではAmazonプライムといったサブスクでも視聴することができる。

今や各芸人がYou Tubeチャンネルを持つことが当たり前になっている時代。各芸人のYou Tubeでは自身のネタ動画が公開され、アクセスすれば誰でも手軽にネタ動画が見られるようになった時代であるが、今回は「DVDでしか見ることができない、スゴいネタ」を紹介していこう。

目次

1. バナナマン『a scary story』/『バナナマン傑作選ライブ bananaman Kick』に収録

今やテレビに欠かせない存在となったバナナマン。多くのレギュラー番組・冠番組を持ち、老若男女から愛される存在となった彼らだが、根底にあるのはコントだ。

『バナナマン傑作選ライブ bananaman Kick』は2008年、東京・六本木の俳優座にて行われた公演の模様をライブ収録したもの。“傑作選” の名の通り、ファンのリクエストを参考に、各時期における代表作を厳選し、再披露するといった趣旨の単独ライブであった。

そこで披露した「a scary story」というコントはバナナマンファンの中でも評価が高い。日村が先に怖い話をして設楽をビビらせた後、設楽も負けじと怖い話をするという設定のコント。

しかし、「えっと」や「あの」などの感嘆詞が多くて設楽の喋りが拙くしどろもどろで、怖い話をしたいのに全く怖く聞こえないというのを日村が怒るというが大枠の流れである。

このネタでは「上手く話すことができる設楽が、あえて話が下手すぎる人」を演じている。この下手さ具合がとても上手い。話を工夫して喋ることはできるが、あえて下手に喋るというのは中々難しい。

このコントはコントが始まってすぐ設楽の怖い話になるのだが、実に4分50秒も設楽が怖い話を下手に話し続けている。バナナマンのコントの中でも異質なネタで最初はお客さんの戸惑いもあるが「下手なヤツが無理して怖い話をしようとしている」という目線で見ると、とても楽しめるコントとなっている。テレビのイメージ的に設楽はしっかり者という固定概念があるが、単独ライブのコントでは設楽はポンコツ要素のあるちょっと間の抜けた人間を演じることが多い。

愛すべきバカとも言える人間を演じるのがとても上手く、その言動や挙動から本当にバカそうに見えてくるというのがコント人・設楽統の魅力だと感じる。

16分にも及ぶ「a scary story」のコントを見ると、設楽の類稀なる演技力が垣間見れるので是非一度、見てもらいたい。

2. バカリズム『見よ 勇者は帰りぬ』/『BAKARHYTHM LIVE SPORTS』に収録

テレビやお笑いの活動にとどまらず、ドラマ・映画の脚本もこなすバカリズム。今年公開された『架空OL日記』では脚本のみならず出演もしている。現在も意欲的に創作活動に取り組むバカリズムも若手時代から多くの単独ライブを実施してきた。

今回紹介するのは2011年に開催された単独ライブの模様を収録した『BAKARHYTHM LIVE SPORTS』

スチャダラパーのBOSEが歌唱を担当しているオープニング主題歌が印象的なこのDVDの中で私が紹介したいのは『見よ 勇者は帰りぬ』というタイトルの一人コント。

会社の会議終わりで、同僚の女性と片付けをしながら雑談をするという所から始まるこのコントだが、バカリズム演じるサラリーマンの男が「今週どっかのタイミングで、おっぱい触らせてくんない?」と同僚の女性に問いかけるという、セクハラめいた発言からストーリーは始まる。

その後、バカリズムはホワイトボードを用いて「アナタが僕におっぱいを触らせたくない理由」を次々と書いていくのだが、理論的にその理由をことごとくつぶしていく。

一人コントなので実物の女性は出てこないが、言葉巧みにおっぱいを触らせよう誘導する言動に矛盾がなく、見ているお客さんも「確かにそうかもしれない」と引き込まれてしまう妙な説得力のあるコントだ。

一つ一つの可能性を理詰めでなくしていくバカリズムのその姿は若干狂気じみているが、一人コントというフィクションの中で巻き起こっている事なのできちんとエンタメに落とし込んでいる。

「おっぱいを触りたい」という中学生男子的発想を、ホワイトボードでプレゼンして相手を論破していくというバカバカしさは、見ていて痛快に感じると思うので是非一度、見てもらいたい。

3. シソンヌ『汚し屋』/『シソンヌ ライブ une』に収録

キングオブコント2014』で優勝した吉本興業所属のコント師・シソンヌ

その高い演技力やコントの構成は業界内で高い評価を受けており、シソンヌに一目置いている芸人も非常に多い。演技力もさることながら、シソンヌのコントを作っているじろうは脚本家としての才能も秀でている。連続ドラマ「卒業バカメンタリー」(日本テレビ)や松雪泰子主演の映画「甘いお酒でうがい」などの脚本を手がけており、コントのみならずその才能をいかんなく発揮している。

そんなシソンヌのコントの中で私が紹介したいのは2013年に開催されたシソンヌコントライブ「une」の中で披露した「汚し屋」というコント。

飲食店に入店した客のじろうとウェイター役の長谷川という設定なのだが、これは通常の飲食店ではない。

カレーうどんを注文したじろうに対して長谷川はいくつかの衣服を持ってくる。それに対してじろうは「これ本当に汚していいんですか?」と問いかけ、長谷川は「うちはそういうお店ですから」と答える。

そう、この店は「レンタルした服を存分に汚しながら食事ができる」というコンセプトのお店。

汁物などを食べる時に衣服に飛び散らないように食べるのが当たり前だが、このコントの中のお店ではそれを気にすることなく食べることが出来るのだ。

私は初めてこのネタを生で見た時、設定の面白さに驚愕したのを覚えている。

「身につけている服を汚さないように人は食事をしている」という当たり前過ぎることをフリに使ったコントで、実生活ではありえない状況にも関わらず、ウェイター役の長谷川の落ち着きぶりや紳士的な接客態度が妙なリアリティをもたらすのだ。

じろうがカレーうどんを思いっきりすすり、顔がカレーの汁で汚れるシーンは特に必見。自制せず、「汚せる欲」を思う存分発散している時の表情の作り方にも是非注目してもらいたい。

シソンヌのコントは演劇的視点から見ても目を見張るものがあり、マイムや声のトーン・挙動や目線など細かい点もこだわっている。

このコントに限らず、じろうの「その人物になりきる能力」はシソンヌを語る上で切り離せないものなので、興味がある人はじろうの憑依力に着目して他のコントも見てもらいたい。

おわりに

ネットやテレビ番組で芸人の漫才・コント・ピン芸が簡単に無料で見られる時代であるが、クオリティの高い、珠玉のネタはやはりお金を出さないと見られない。

好奇心旺盛な、面白いものを求める気質のある方は是非これらのDVDをチェックしてみてはいがかだろうか。

バナナマン・バカリズム・シソンヌも毎年新たな単独ライブを実施している為、こういったクオリティの高いネタを生で見たい方は是非足をお運び下さい。

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▶︎元ハガキ職人(RN豆山ビーン) ▶︎元AD ▶︎You Tube『GOLDEN TIME』▶︎エフエム世田谷「ガヴァドンの楽園電波」▶︎お笑いメディア『東京で考え中』運営 ▶︎Twitter(@kaito1
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