CHARA(チャラ)とは?|音楽のコンセプトやアルバムについて

CHARA(チャラ)とは?|音楽のコンセプトやアルバムについて

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デビュー当時から「愛」をテーマに曲を制作し、優しくて個性的でガーリーな歌声を響かせ続ける女性シンガーソングライターCHARA(チャラ)。

CHARAは1968年1月13日、埼玉県川口市に生まれました。1991年9月にシングル『Heaven』(1991)でデビュー。翌年1992年、セカンドアルバムである『SOUL KISS』(1992)で第34回日本レコード大賞ポップス・ロック部門のアルバム・ニューアーティスト賞を受賞しました。

1997年にはアルバム『Junior Sweet』(1997)が100万枚を超えるセールスを記録するなど、日本を代表するアーティストの一人です。

この記事では1991年のデビューから2020年の「CHARA+YUKI」(チャラユキ)復活まで、名曲に合わせてCHARAの人生を辿りながら、CHARAが抱いてきた「愛」の形をご紹介していきます。

目次

CHARAの楽曲のテーマやコンセプトは? CHARAボイスを通して表現する「女」としての「愛」

デビュー当時から揺るぐことのないCHARAの永遠のテーマは「愛」。 そして、もう一つCHARAのテーマともアイデンティティともいえる、CHARA自身が「女」であるということ。CHARAは過去に、職業に「女」と書きたい、なんてことも言っています。

両親への愛、恋人への愛、夫への愛、子供への愛など、「女」として表現することができる様々な形や温度を帯びた「愛」をテーマに作曲し続け、歌い続けています。

そしてCHARAといえば、消えそうで切なくてか細い、でもどことなく強い生命力も感じられる、CHARA特有の歌声「CHARAボイス」。

そんな「CHARAボイス」を通してCHARAの「愛」がじんわり染みてくる、CHARAの名曲を、「愛」のエピソードや受賞歴と合わせてご紹介します。

CHARAをデビューへ導いた『Violet Blue』(1993)とデビュー作『Heaven』(1991)

『Violet Blue』(1993)

もともとはバンドでキーボードを弾いていたCHARA。 曲を作りたくてバンドを組んでいたため、歌うことを断わっていたんだとか。

19歳のとき初めて失恋を経験したCHARAは、その行き場のない悔しさ、どうしたら立ち直れるんだろう?という不安から、なにか思い切ったことをしないと、と思いそこで歌うことを決意したそうです。

当時六本木のバーでウェイトレスとしてバイトをしていたCHARAは、朝の4時まで働いて、始発で帰り、部屋にあるキーボードを弾きながら作曲し、そこに自分の歌声をいれてデモテープを作成。

泣きながら歌ったために掠れてしまった声や、やるせない気持ちの顕れのような「はぁー」というため息が、現在も愛され続けるあのウィスパーな「CHARAボイス」になったそうです。その曲が『Violet Blue』(1993)。

デビュー曲『Heaven』(1991)

『Violet Blue』をレコード会社のスタッフが気に入ったことでデビューが決まり、1991年ファーストシングル『Heaven』(1991)をリリースしたそうです。

『Break These Chain』(1991)CHARAと運命の人を引き合わせた曲

映画監督である岩井俊二がCHARAの楽曲『Break These Chain』(1991)を気に入り、同監督作の映画『FRIED DRAGON FISH』(1993)のエンディングにこの曲が抜擢されました。

1994年、CHARAはこの岩井俊二監督の映画『PiCNiC』(ピクニック)(1994)の撮影で、元夫である浅野忠信と出会い、ダブル主演を務めたことで距離が縮まり、交際がスタートします。

『Break These Chain』(1991)も『Violet Blue』(1993)と同様に19歳のCHARAが失恋を糧にして作った曲ですが、恋人となり家族となり、共に「愛」を築くことになる浅野忠信との出会いきっかけとなったんですね。

当時デビューしてから間もなかったCHARAは、「愛」の経験が多くなかったため、「愛」を未知のもの、ワクワク感を与えてくれるものと考えていたそうです。

結婚への憧れも強かったとか。浅野忠信との出会いも、「この人の子供を産むんだ」という衝撃が走った、と過去のインタビューで話しています。

愛を振りまくCHARAが印象的な『Swallowtail Butterfly ~あいのうた~』(1996)

『Swallowtail Butterfly ~愛の歌~』(1966)

1996年、CHARAは岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』で主演グリコ役を務めます。

むかしむかし、“円”が世界で一番強かった頃、いつかのゴールドラッシュのようなその街を、移民たちは“円都(イェンタウン)”と呼んだ。でも日本人はこの名前を忌み嫌い、逆に移民たちを“円盗(イェンタウン)”と呼んで蔑んだ。ここは円の都、イェンタウン。円で夢が叶う、夢の都。・・・・・・そしてこれは、円を掘りにイェンタウンにやって来た、イェンタウンたちの物語り。引用元

当時のCHARAは、フランスの映画監督ジャン=リュック・ゴダール(Jean=Luc Godard)に影響を受け、「愛」について、「愛されるより愛したい」と話しています。

例えば、『女と男のいる舗道』(1962)など、ゴダールの映画には娼婦がしばしば登場します。愛を与える娼婦からインスピレーションを受け、「愛されるより愛したい」と思っていたそうです。 映画『スワロウテイル』(1996)でCHARAが演じるグリコは娼婦です。

イェンタウンのみんなを愛し、愛されるグリコ。いつでも「愛」に溢れているCHARAと重なり、実際のCHARAを見ているような、パワフルでフレンドリー、時々センチメンタルで、だけど笑顔を絶やさない、そんなグリコが印象的です。

イェンタウンで娼婦として働く主人公グリコは、映画内でバンド「YEN TOWN BAND」を結成します。CHARAがボーカルを務めるこの「YEN TOWN BAND」は映画内のみならず、同バンド名義で実際にシングルとアルバムをリリースしています。

「YEN TOWN BAND」の楽曲『Swallowtail Butterfly ~あいのうた~』(1996)は約85万を売り上げる大ヒット曲となり、CHARA初となるオリコンシングルチャート第1位を獲得しました。

『MONTAGE』(1996)

『Swallowtail Butterfly ~あいのうた~』(1996)が収録されているアルバム『MONTAGE』(1996)もオリコンアルバムチャートで第1位を記録しました。

すれ違っても相手を想うことを忘れないCHARAの気持ちを歌った『やさしい気持ち』(1997)

『やさしい気持ち』(1997)

1997年にリリースしたCHARA14枚目のシングル『やさしい気持ち』(1997)はタイトル通り、やさしい気持ちになれるラブソングとしてオリコンチャート7位を記録する大ヒットとなりましたが、実は当時の夫浅野忠信と喧嘩した時に「恨み節」で書いた曲だと話しています。 また、待っているばかりではなく女も自分から愛することを伝えよう、という意味を込めた曲でもあるそうです。

誰かのためにプレゼントを買ったり、ご飯を作ったりするそのあたたかい「愛」が、街中を美しくキラキラと輝くものにするクリスマスシーズンが大好きなCHARA。

『やさしい気持ち』(1997)はそういう「見返りを求めない愛」がテーマになっています。 歌詞中の「もうあたしをとめないで」というセリフ、溢れだす自由な「愛」が感じられますよね。

子供たちに贈る無償の愛『月と甘い涙』(2000)と『大切をきずくもの』(2000)

CHARAには娘と息子がおり、1995年7月4日、長女SUMIRE(スミレ)を、1999年12月19日に長男佐藤緋美(さとうひみ)を出産しています。

娘SUMIREのために童謡を歌ったり本を読んで聞かせたりしていたCHARAはその影響で、ポーランドの絵本作家マイケル・グレイニエツ作の絵本『お月さまってどんなあじ?』を読み聞かせながら『月と甘い涙』(2000)を書いたそうです。

『大切をきずくもの』(2000)は、息子佐藤緋美が生まれた翌年にリリースされていますが、息子がまだお腹にいるときに制作したそうで、お腹の子供と一緒のとき歌うとどうなるか、作曲や作詞をして、どんなふうに聞こえるのか、音楽にどんな影響を与えるのか、そんなことを考えながら制作したそうです。「守る力」や「母性」、そして「無償の愛」を感じたと話しています。

友情も愛情!20年ぶりに復活を果たしたCHARA+YUKIのアルバム『echo』(2020)

『愛の火 3つ オレンジ』(1999)

『月と甘い涙』(2000)リリースの前年である1999年、産休中だったCHARAは、同じレコード会社所属である当時活動休止中のバンドJUDY AND MARYのヴォーカリスト・YUKIとのユニット「CHARA+YUKI」を結成。1999年11月26日、『愛の火 3つ オレンジ』(1999)をリリースします。

「CHARA+YUKI」名義でのシングルはこの『愛の火 3つ オレンジ』(1999)が唯一でしたが、20年の時を経た2020年1月31日セカンドシングル『楽しい蹴伸び』(2020)、同年2月14日に初のミニアルバム『echo』(2020)がリリースされました。

アルバム『echo』(2020)

2018年の春、YUKIのアルバム『forme』(2019)に収録されている『24hours』(2019)をCHARAが作曲。YUKIがCHARAの自宅へ赴き、3曲くらい曲を作ったそうです。そこでCHARAがYUKIに渡したデモテープの中に「これCHARA+YUKIでやるといいんじゃない?」という曲があり、それがきっかけとなって2020年の復活が決まったそうです。 お互いのライブに行って、「またいつか一緒にやりたいね」と話していた二人。

CHARA+YUKIのアルバム『echo』(2020年)に収録されている『You!You!You!』(2020)が、そのCHARA自宅でのデモテープ制作日にできた曲だそうです。音楽プロデューサーでDJであるSeiho(セイホー)がサウンドプロデュース、プログラミング、ミキシングを手掛けたテクノになっています。

みなさんお気づきですか?アルバムの発売日はなんと2月14日、バレンタインデー!CHARAとYUKIからの「愛のプレゼント」、私はバッチリ受け取りました。みなさんも是非受け取ってくださいね!

最後に

1991年にデビューしてから、様々な出会いと別れを経験してきたCHARA。幸せで温かい日もつらくて涙が溢れる日も「愛」を絶やさず、その「愛」を書き、歌うことで発信し続けています。

CHARAデビュー30周年を控えた2020年、新型肺炎コロナウイルスの影響でCHARA+YUKIの『echo』(2020)リリースライブである「CHARA+YUKI LIVE“echo”2020」が中止になってしまい残念ですが、CHARA+YUKI公式サイトでCHARAはこんなメッセージを添えています。

「こちら、会える時まで ワクワク貯蓄しておきますね」 「世界には愛と平和があってこそ 音楽はこだまする」引用元

CHARAの「愛」溢れる名曲を今こそ世界中にこだまさせたいですね。

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1998年生まれ。音楽、美術、映画、哲学、文学、ファッション、アニメなど多趣味。カルチャーオタクです。マイブームは睡眠時に夢(無意識)を見ることと、ロンドンナショナルギャラリーの公式サイトで作者不明の作品を漁ること。Instagram: @ruyyajk
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