
【3分でわかる】チケットWebサービスの分類について
業界構造
そもそもチケット販売の際の業界の構造を考えてみたい。
大枠としては、こう言った形になるが、
興行主・主催者を一旦販売元としてひとまとめにしてチケットの流通だけにフォーカスしてみると、このようになる。
チケットを購入出来るサービスを分類すると、上記のように大きく3分類、細かく言えば4分類が出来る。
- 販売元
- 一次流通
- 二次流通
についてそれぞれ見ていきたい。
1. 販売元(興行主・主催者)
例えば、ECサイトで考えた場合には、ユニクロや無印などメーカーそのものに当たる。商品そのものを製造販売している人たちだ。
チケットで言えばJリーグのチケットを公式サイトから購入する場合などが該当する。つまり、イベント自体を企画運営している人たちになる。
大企業で言えば上記のようになるが、自分が何かものをネット上で販売しようとした場合に、自分でWebサイトを立ち上げて、自社サイトで販売するイメージになるだろう。
2. 一次流通
例えば、ECサイトで考えた場合には、Amazon、楽天、Yahooショッピングに当たる。自分では商品を持たず、決済や購入の仕組みを提供し、販売者と購入者を結びつける人たちだ。
チケットで言えば、e+(イープラス)、ローソンチケット(ローチケ)、チケットぴあ(ぴあ)、LINEチケット、楽天チケット、Yahoo!チケット(ヤフチケ)、セブンチケットなどが該当する。基本的にイベント自体は主催せず、チケットの販売を担う役割の人たちだ。
自分で考えた場合に、ネットでものを売ろうとしても、自分のサイトに人を集客するのは大変なので、楽天やYahooに出店してみよう!という発想に近い。
ECサイトの場合でもチケットの場合でも、この役割で必要になってくるのは集客力で、ゼロからチケット販売サイトを立ち上げた事例は殆どない。
e+は、ソニーミュージック系列で、ローチケはローソン、LINE・楽天・Yahooなどは大手Webサービス事業者だ。
ぴあはやや特異だが、出版業からチケット販売に移行してきた会社になる。
3. 二次流通(公式リセール・チケットフリマ)
例えば、ECサイトで考えた場合には、メルカリ、楽天フリマ、Yahoo!オークションなどいわゆる中古品を扱うフリマアプリ・フリマサービスが該当する。
チケットで言えば、チケスト(チケットストリート)・チケ流(チケット流通センター)・チケジャムなどが該当する。
自分で考えた場合には、自分が売った自分の商品が知らない内に、メルカリで中古品として販売されているといったイメージだろう。(中古品として流通するのは自社ブランドにとっては決してマイナスでは無い、というよりもブランドとして確立してきた証拠とも言える)
ややこしいのが、「公式リセール」という概念だ。これはECサイトには存在しない概念になる。
例えば、Jリーグのチケット購入した後に、キャンセルは出来ないが、「リセールに出品する」という選択肢がある。
公式販売価格と同じ値段で他の誰かに買って貰える、というものだ。
買い手がいれば、いけなくなった試合のチケット代が無駄にならずに済む。
(ただし、問題点としてはリセールの際に手数料が取られてしまうので、損失が0にはならない点だ)
一部のオフィシャルサイトではこのリセールの仕組みをとっている。おそらくオリンピックチケットが1番イメージしやすいだろう。
各チケットサイトでも公式リセールの機能があるが、紙チケットでは無く、電子チケットの場合のみ対応している。
先述のように手数料が別途掛かるので、損失を0にしたい場合には、販売価格が自由に設定出来るチケットフリマサイトで転売する必要がある。
【コラム】チケットの公式リセールについて
公式サイトで何故、「リセール」をしなくてはならないのか。というよりも、キャンセル受付や払い戻しじゃダメなのかという点に疑問があるだろう。
もちろん、企業なのだから、一度販売したものをキャンセルされると損失になる!!という点はあるかもしれないが、それだけなのだろうか。
1つは、キャンセルや払戻を自由に受け付けると、出資法や銀行法に違反する恐れがある、という問題がある。
詳細は、デパートが商品券をそう簡単に払い戻してくれない理由(資金決済法)に分かりやすく説明がされているが、他の法律との兼ね合いを考えると、実質キャンセルと同じように見える「リセール」を実施するのは難しい。
こういった事情で、、きちんとマッチングをしながら手数料を取る形態になっており、「かなり手数料も取る」公式リセールが成立している可能性が高いが、ユーザーの利便性を考えると難しい所だ。チケット業界はこのあたりの資金決済法とチケット不正転売禁止法の間に挟まれた状態にあるとも言える。